需要の高まり
ここ数年メタバースの登場により3Dグラフィックス(特に3Dモデルやモーションキャプチャー)を扱うサービスに対する需要がとても高まっています。それを踏まえて、これから 3Dグラフィックス やメタバースついて学んでいくうえで大切だと思う3Dモデルの形式についてお話していきたいと思います。
FBX形式について
現状あらゆる分野で一番広く使われている3Dモデルの形式はFBX(Filmbox)形式です。現状ほぼすべてのモデリングツールが利用することができ、Unityやthree.jsなどゲームやWebサイト制作で広く使われている開発環境でも利用できることが強みです。
しかし、FBX形式にはとある問題があります。一つはこの形式が相当前に作られたものであること。そのため現在の技術や使用用途のことをあまり念頭に置かずに制定されています。
次にフォーマットしか定義されていないことです。つまるところこの形式自体にはXMLやJsonのように配列やオブジェクトの書き方は定義されているが、それらを何に使うかが公式では具体的に定義されていないのです。そのせいでモデリングツールごとにデータの名称がまばらだったりするのです。(現在大体のFBXモデルはblenderかAutodesk社のツールを使って作られている為、世の中のFBX読み込みライブラリなどはこのどちらかが出力したフォーマットで対応しています)
このフォーマットはとてつもなくデータサイズが大きくなりやすいという問題もあります。アニメーションクリップやボーン・メッシュなどの情報をすべて一つのファイルに詰め込んでいるため、高度なモデルになるほどギガ単位の容量が必要になってしまいます。
注目されているVRM形式について
実はメタバースという業界においては今FBX以上に注目度が高い3Dモデル形式があります。その名もVRM形式です。この形式は3Dモデル版のjpegファイルのようなもので、ユーザーが利用するときに扱いやすいようにしたものです。
まずこの形式で作られた3DモデルはFBX形式に比べてはるかに軽いです。なぜ軽くなっているかというと、このフォーマットがそもそもメタバースでの利用を前提に作られているためです。実はFBXファイルには音声や動画のデータも突っ込むことがあるのですが、VRMでは先述の理由で入っていません。いわば余計なものが入っていない純粋な3Dモデルなのです。アニメーションさせるにはどうするかというと、VRMに対応したモーションキャプチャーソフトやアニメーション用のファイルを使うことで動かすことができます。
軽量さに関してはまた別の利点もあります。それは配布・販売・管理しやすいということです。軽量なためダウンロード・アップロードも簡単で、たくさん持っていてもHDDやSSDを圧迫しません。そのため、日本ではメタバース用のアバターはVRM形式で市場に出回っています。
これからはVRM形式の時代
以上の観点から特にメタバースに関するサービスの開発をしてみようという時は、このVRM形式のモデルについて学習していったほうがいいと思います。FBXが利用できる Unity や three.js においてもこの形式にはライブラリやパッケージを使うことで利用できます。結構新しい形式なのでそんなに簡単に廃れることもありません。文献もそこそこ増えてきた印象なので、メタバースで遊ぶにしても開発するにしても損はないと思うので勉強してみることをおすすめします。
Unitiyで利用するためのパッケージ
three.js で利用するための ライブラリ