林業を元気にするには何ができる?

森林・林業を担うのはだれ?

森林は誰にとっても大切なもの

以前の記事で、日本の森林について、並びにに林業は成長産業への兆しがある!。でも、過疎地等では森林所有者や林業従事者の方々の高齢化や整備されてこなかった森林が多くて、所有者や境界が不明確で整理が大変で”儲からない森林”というイメージがあります。そして林業へのモチベーションが上がりにくいというようなお話をしました。

森林経営管理制度と森林環境譲与税

ただし、現在は「伐って」「使って」「植える」。つまり森林資源を循環利用していく時代です。そのために【森林管理制度】が運用されていて、市町村による適切な森林整備を行うための【森林環境譲与税】が創設されました。
制度も財源も整い、森林・林業を元気にするのために市町村は頑張ってます。

森林経営管理制度

モチベーションが上がりにくいと結果として手入れの行き届いていない森林、つまり森林経営管理が進まないということになります。実際、経営管理が不十分なっていると思われる森林が約3分の2程度残っているといわれてます。つまり、林業経営に適さない、ひらたく言えば、儲からない森林は放置された状態です。

儲からないからと言って、森林を放置しておくわけにはいきません。なぜなら、森林は国土の形成や国民生活に対し、さまざまな影響を与えます。“温室効果ガス、Co2の削減”、雨水を貯める保水力、景観などなど。。。本当に多くのことを支えているからです。

森林は儲かる/儲からないかはよらず、網羅的に整備は進められなければなりません。ただ、儲からない森林は誰も経営したくはない。これでは穴あき状態です。
ということで、穴を埋めるべく地方自治体も森林経営を行えるように森林経営管理制度が整備されました。儲かる森林は森林所有者や委託を受けた民間事業者が行い、儲からない森林は市町村が森林経営をして、森林整備は網羅的に進めらるということですね。

地方自治体に任せれば何とかなる?

地方自治体が儲からないなら負担すればいい?そんなことはありません。市町村からすると儲からない森林で「どうやって経営管理するの?」となります。僕自身、町役場で地方財政をした経験があるのですが、財源の足りない事業を行う場合、”財源持ち出し”と言って、自身の財布から支出します。だから財源がなければ基本的に財政担当はNo!です。

森林環境税(森林環境譲与税)

そんなことは百も承知なわけで、令和6年1月1日施行として“森林環境税が創設されています。

出典)林野庁「森林経営管理制度と森林環境税・森林環境譲与税について」より抜粋https://www.rinya.maff.go.jp/kanto/nikkou/attach/pdf/R1_tochigi_yuushi-1.pdf

森林環境税はどれだけ譲与されているの?

森林整備・森林経営を行うための森林環境譲与税でありますが、環境税という面もあるから森林が関わるさまざま事業に財源を充てることができます。

①「間伐(境界画定、路網の整備等を含む)」といったまさに森林整備!
②「人材育成・担い手確保」といったまさに林業支援!
③「木材利用促進、普及開発」にも使われています。

森林や林業を元気にすることは、みんなの課題です。間伐のような実作業はもちろん、人材育成まで行う必要があります。また、森林や林業と直接関わらない人たちにも他人ごとではないです。森林・林業への関心を高めることも大切です。だから森林の多い少ないかだけではなくすべての自治体に譲与されます。

では、どうやって決まるのか?

それは私有林人工林面積(森林の面積)、林業就業者数、人口によって案分です。

愛知県だけですが、令和3年度に配分された譲与額を確認してみる

愛知県だけですが、デジタル地図で可視化してみました。今回も色が濃くなるほど多くなっています。なお、自治体ごとに、かなりの大きな差があるので対数スケールで区切ってます。

ちなみに僕の前務めていた地方自治体は右上のほうです。上図を見ると、森林環境譲与額はまあまあの色の濃さで38,329千円、そして下図の人口は白色で3千人弱。森林面積が約9割という町ですので森林の面積によって譲与額が多くなることが分かります。一方、尾張地方は森林は少ないと思いますが人口は多いので色がそれなりに濃く塗られています。

森林の大きさだけでなく、人口も譲与額に影響していることが分かると思います。森林は少なくても事業が行われる。つまり森林の大切さを知っていただくための事業にも頑張っていることが想像できます。

図1 令和3年度 森林環境譲与税 譲与額(市区町村別)
※「総務省ホームページより取得(https://www.soumu.go.jp/main_content/000771643.pdf)

図2 令和2年国勢調査人口

まとめ

度重なる森林のネタでしたが。。。

誰にとっても必要な森林。その森林が荒れている!
そのために森林環境税が市町村に配分されて、あるべき森林の姿を目指して地方自治体は頑張っています。

なお、森林環境譲与税は使途は公開されます。僕の前務めていた森林の多い地方自治体の使途です。令和2年度ですが参考までに。

①森林GIS事業
②里山林整備事業
③間伐材搬出利用補助事業
④境界明確化事業
⑤木製机等購入事業
⑥森林環境譲与税基金積立金

①から④は、まさに森林や林業の整備事業ですね。⑤は木材利用促進の事業と思います。これを見るとわかる通り、森林や林業を元気にする事業は多岐に渡ります。

実際、森林に対する考え方は地方自治体ごとにあるので、森林が多くて森林整備が中心であっても、森林整備だけでなく森林や林業への関心を高める事業も行われます。ただ、森林が少ない場合は後者が中心となります。

おまけ

当社では、得意分野のデジタル地図を森林整備の現場で使っていただくソリューションに取り組んでいます。(このあたりのお話はまた改めてします

森林整備だけでなく森林の大切さを広める事業も市町村は頑張っていますので、多様なお仕事からしかできない支援も多いのでは?と思っています。森林整備、森林林業の啓発等々からもぜひ意見交換がしたいです!!

面白かった方や参考になった方も是非「イイね」お願いします!

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