キロポストデータを自作してみることにした

以前、こんな記事を書かせて頂きました。

道路上の位置を表す概念「キロポスト」は、シカなどの野生動物のロードキルの位置を警察の方が記録するために使われている、という実態があります。

一方、当社が開発に携わった「シカ情報マップ」、先日のシカ衝突ハザードマップのイベントでも大きく取りあげられるなど、ありがたいことに露出の機会をたくさんいただき、注目を浴びているようです。(アクセス数が増加傾向に!) また、おかげさまで、警察の方にロードキルの情報入力をご協力いただけるような関係を築くこともできました!

…が、肝心のシステムがこの現状に追い付いていないのが実態です。
位置情報は「緯度・経度」での入力が必要なので、キロポストデータはそのまま入れられず、緯度経度に変換する手間を強いていることになります。所謂、キロポストジオコーダがあれば解決するのですが…うーん、これは早く対応したいですね。。。

キロポスト利用ニーズの高まりと、データ整備の現状

しかし、そのうちになんて悠長に考えていられないほどに、状況が変わってきました。上述のシカ衝突ハザードマップも、対応エリアの拡大を検討しているようですし、シカ情報マップへの報告も増加傾向にあります。ユーザから改善要望が上がるのも、時間の問題な気がします。その前に、先手を打っておく必要があります。

そんなわけで、ちょっと前からキロポスト→緯度経度変換に関する研究開発を進めています。しかし早速、データソースの当てがないという問題に直面しています。オープンデータを当てにしていたのですが、想定よりもデータが整備されていないようです。数少ないオープンデータとして、「道路基準点案内システム」を見つけましたが、主要国道くらいしか整備されていない様子。有償でキロポストデータを買う、という選択肢もあるけども…さて、どうしようか。。。

オープンデータ整備の布石として、自作してみることにした

相談した結果、「自作すればいいんじゃね?」という結論に。ということでキロポストデータを自作します。

自作といっても、現地に赴いてマッピングしたりする訳じゃありません。そんな予算も時間も人員もありません。道路のオープンデータを使い、道路の各路線を機械的に1kmごとに区切ってキロポストデータを作ります。

そんなやり方じゃ、実態とずれたデータができるだけじゃないの?と思ったそこのあなた。はい、その通りです。かなり精度の低いデータができるでしょうが、そこはお構いなしで作ります。まずは精度が低くても使ってもらえる状況を作ります。ニーズを証明して、キロポストデータのオープンデータ整備を働きかけるのが目的です。

キロポストデータ生成のアプローチ:OpenStreetMap道路データの利用

自作キロポストデータの基となる道路データには、国土交通省が整備する「国土数値情報」の道路データを採用する予定でした、しかしデータの整備年度を見ると、なんと平成7年…流石にデータが古すぎるので、別のデータを探すことに。検討の結果、OpenStreetMapの道路データを使ってみよう、ということになりました。

OpenStreetMapの道路データは、上の図のように、属性情報を持つ地物として登録されているようなので、属性に含まれる路線番号等を利用して、1つの路線データを抽出することができそうです。

国道1号線

試しに国道1号線のデータを抽出してみた結果、上図のような感じになりました。一見、1本のラインとして取れているように見えますが…

同じ路線でも分岐して輪になっていたりします。これはバイパスが新しく作られて、新道・旧道の2つに分岐したパターンと思われます。このケースでは、キロポストはどちらを基準に整備されているのでしょうか?

…などと、想定していなかった問題に多少悩まされましたが、OpenStreetMapから1km単位のキロポストデータを出力するプログラムを作ることは出来ました。「道路基準点案内システム」にて整備されているデータを比較してみた結果は以下の通りです。

0キロポスト地点で揃えているので、キロポストの数字が大きくなるほど、ずれが累積されて大きくなっていますね。まぁ、予想通りです。ずれの幅が想定以上ではありますが…

制度はともかく、キロポストデータを作るという最初の目標は達成です。OpenStreetMapに路線番号情報が整備されている路線であれば、この方法でデータを作り出すことができそうです。ただ、精度はもう少し上げられる余地がありそうなので、プログラムをもう少し改良したいですね。

まとめ

ということで、キロポストデータ作成の研究開発について、一部を取り上げて紹介してみました。

記事が面白かった方、参考になった方は、是非「イイね」お願いします。

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