GISは諦めたほうがいい?よくあるシチュエーション

もっとGISでできることを知って、必要なGISとは?を考えよう!

GIS導入では「コストがかかる」「優先順位が低い」となって、実装をあきらめてしまう企業様が多くいらっしゃいます。しかし、そんなときでも本当に不要かどうか検討されてみてはいかがでしょうか?

written by 澤田 

弊社を中心に平成27年国勢調査をエリアマーケティングをしてみました!
ご覧いただくとエリアマーケティングでできることのイメージが膨らむと思いますのでぜひダウンロードしてご覧ください!

国勢調査を利用したエリアマーケティング結果サンプルをダウンロード

Googleマップやスマホの地図アプリ、場所を調べるだけなら無料です。一方、独自の業務GISで地図や位置情報を管理し利用するにはGIS機能やデータ等、様々な選択肢があり、コストがかかるものもあります。もちろん独自GISの開発にはコストが必要ですが、実現したいことがGIS機能に落とし込めずに整理できなかった等で迷走すると開発費用は高くなる可能性が出てきます。もし「なんでも分析できるGIS」と考えていたのなら「GISでできること」を理解して「GISに求めること」を再定義してみると良いと思います。

今回は「エリアマーケティング(商圏分析)」をテーマにGISで営業行動に必要な地域を分析する事例を紹介します。GISを使って”できること”への理解を深め、GISを使うコツをつかんでください

この記事はこんな方にオススメです
  • エリアマーケティングをしてみたい方、エリアマーケティング(商圏分析)の入門者
  • GISの検討をはじめたばかりの方
  • GISにはもっと使えるシーンがあると思っている方

1.エリアマーケティング(商圏分析)とは?

エリアマーケティングとは、商品やサービスを地域エリアの実情に合わせて展開することを考えるものです。例えば、コンビニの出店では、当然利用しやすい若い人が多いエリアのほうが有利です。売上拡大には店舗の周辺の特徴を知っておく、エリアマーケティングは欠かせませんね。

営業行動に役立つエリアマーケティングをすれば、以下のような地域にあった効果的な行動ができます。

会員の住所を地図で見つめる

  • 会員名簿の住所を利用して地図に点として表示する(プロット)
  • 会員の少ないエリアと多いエリアが分かる
  • 多い/少ないエリアにあった営業活動ができる

知りたいエリアの特徴を見つめる

  • 国勢調査等の統計情報を地図に重ね合わせる
  • エリアと重なる統計情報から住んでいる人たちの特徴が分かる
  • 特徴に合うサービスと合わないサービスを提供できる

2.フィットネスクラブのエリアマーケティング 効果的な集客

最近のフィットネスクラブには女性向けや高齢者向けの利用者を限定したクラブがあります。利用者は店舗周辺に住んでいる人たちだから、地域の特徴にあったサービスで出店したいものです。住んでいる人たちはどんな人が知る、つまりエリアマーケティングをする必要があります。

行いたいエリアマーケティングは二つです。
①②をご覧いただくと、効果を得るためのエリアマーケティング、必要なGIS機能の外観が分かると思います。

①店舗周辺に住む人の年齢層や性別は? ターゲットが多いエリアを探し出す

準備

  • 年齢層や性別を知るために国勢調査の結果を使いますので、その結果が収録された統計データ

機能

  • 統計データをGISに取り込める
  • 店舗をGISに取り込める
  • 店舗位置を中心に範囲となる面(商圏)を作成できる
  • 商圏で統計データの重なり合うエリアを切り出して、統計値を集計できる

効果

  • 集計した値の大きい商圏は新規出店なら有利な場所と判断できます
  • 既存店舗ならエリアの実情にあったサービス内容の見直しが可能となります

②どこから会員は来るのか? 会員に通いやすいクラブ運営を考える

準備

  • 会員の氏名や住所、利用サービス等が記載された名簿
  • 公共交通や道路が分かる地図

機能

  • 会員の住所をもとに地図に点(ポイント)としてプロットできる
  • 会員がクラブに来るための移動時間が計算できる

効果

  • 送迎バスの運行検討でクラブに来られれば会員の満足度が上がり、結果的に会員拡大に期待できます
  • 表現された点の分布を見て偏りが薄いエリアに効果的に新規勧誘のポスティングができます

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3.フランチャイズ事業のエリアマーケティング 売れる店と売れない店

小売系でフランチャイズビジネスしているとき、売れる店舗と売れない店舗が出てくることがあると聞きます。店舗経営のノウハウ等が同じように提供がされ、同じ商品を同じ売り方をするのに、なぜ違いが出てくるのでしょうか?

小売りでは店舗で売っている商品を買いに来るのは当然ながら近くに住んでいる人が多いと思います。そうすると地域の特徴にあった商品であるかを点検する、つまりエリアマーケティングをして、店舗周辺に住んでいる人の傾向を性別、年代、家族構成や職業等から知って、商品の選別や陳列の仕方を工夫すると良いでしょう。

行いたいエリアマーケティングは一つです。
以下をご覧いただくと、効果を得るためのエリアマーケティング、必要なGIS機能の外観が分かると思います。

店舗周辺に住む人の年齢層、性別、家族構成や就業先は?住んでいる人のことを調べます。

準備

  • 住んでいる人の様々な特徴を知るために国勢調査の結果が使えますので、その結果が収録された統計データ
  • 競合店リスト(古くは電話帳、今はGoogle検索でしょうか?)

機能

  • 統計データをGISに取り込める
  • 自社/競合の店舗をGISに取り込める
  • 店舗位置を中心に範囲となる面(商圏)を作成できる
  • 商圏で統計データの重なり合うエリアを切り出して、統計値を集計できる

効果

店舗ごとに集計すれば、各店舗の背景として近隣に住んでいる人の状況が把握できます。この状況は店舗が抱える背景、地域の売上ポテンシャルといえますね。

売上に課題のある店舗は背景に合う商品をどのように売っている?
単身の若い人が多いなら、漬物よりもお菓子やインスタントラーメンを目立つ位置に陳列したり、安売りの目玉商品にすると集客に繋がるかもですね。売り上げの良い店舗の背景と比較することも重要です。良い店舗と課題のある店舗の背景を比較すれば、店舗運営のあれこれを考察を深められそうですね。

気になる競合店、でも調子のよい競合店なら参考にできる売り方が見つかるかも?
店舗周辺の競合店との近接も影響があるので押さえておきましょう。さらに調子のいい競合店の背景が近ければ、競合店の売り方も参考になるはずです。

目的は違ってもやっていることはいっしょ、エリアマーケティングの手段は(意外と?)いつも同じです。取り扱うデータが違う、結果の理解の仕方が違う、エリアマーケティングあるあるです。上述でもフィットネスクラブや小売り系のフランチャイズ事業を紹介しましたが、これは学習塾やドラッグストア等の出店でも同じ流れがあると思います。同じやり方で良いことは汎用性が高いともいえるので、エリアマーケティングにはパッケージ製品があります。パッケージ製品では価格や機能には差はありますが、製品によってはご自身に充分な費用対効果のある場合もあると思いますので、忘れずに検討すると良いでしょう。

GIS機能を汎用的にしたパッケージ製品は理解や使い方が難しいという声も聴きます。ひとつの分析を行うために複数の機能を使わなければならないからではないでしょうか?しかしながら「やりたいこと」さえ明確であれば、GIS機能でできることの理解を深め、操作手順を整理してフローとしてしまえば大丈夫です。

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4.地図は情報共有の手段です!

最後にエリアマーケティング以外の事例も紹介しておきます。

GISとは、“地理情報システム“とか”地図情報システム“と言われます。

澤田
澤田

イメージですが、地理情報システムと言うとエリアマーケティングや位置情報を使った空間分析をする、地図情報というと地図に情報を記録するという感じがします。みなさんはどう感じますか?
(ちなみにGISはGeographic Information Systemの略称なので地理情報システムが正しいです)

ここで、“地図情報システム”は地図に記録すると考えたとき、その目的は情報共有です。

仮に30年前に遡って(GISがないとして)、あなたの仕事が顧客訪問の配送業務であったとしたらどうしますか?
カーナビもなくスマホもない。。。。住宅地図という冊子の地図帳を使うと思います。地図帳には、配送物の情報や訪問時間をメモ書きして、付箋も張って地図帳を見ながら業務を行うと思います。
何度も訪問するお客様であれば“大きな犬がいる”、“日中は不在の可能性高い”とかの情報を訪問先の家の近くにメモ書きするかもしれませんね。有益な情報が書き込まれた地図帳は、別の人が使うことを考えたときにも役立ちます。

この情報共有は、簡単で効果的な方法と思います。

ただ、続けていくといろいろ不都合もでてきます。地図帳は古くなって汚れてくるし、メモ書きも増えてくると見にくくなってしまいますから。

情報共有の地図情報システム

この不都合の解消を目的にメモ書き地図情報システムを使用していただいているお客様もいらっしゃいます。ここではメモ書きはデジタル情報なのでいつ誰が書いたことも確認できます。また情報の削除や更新といったメンテナンスもカンタンです。
このお客様では、メモ書きした内容を問合せ/提案/クレーム等として整理し、さらにお客様と電話で話した内容も地図に記録しており、情報共有ツールとしてGISを活用していただいています。


今回は、エリアマーケティングのツールであるGISとしてまとめてみました。

澤田
澤田

最近は国勢調査をはじめ多くの統計調査結果はオープンデータとして利用ができます。統計データを表で眺めていてもわからにくいことでもGISにより統計地図として扱うことができれば、カンタンに”地域のポテンシャル”を知ることができます。「なんでも分析できるGIS」ではなく、GISでできることを理解して、知りたいことを噛み砕いて再定義してみると良いと思います。

”GIS×統計”です!!

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