GISを本当に諦めていいのか?

GISを必要とした理由は間違いではなかったなら、まだ導入できていない状況は黄色信号です!

「やっぱりGISを導入すればよかった…」と後から思うことのないように、GIS導入断念で起こる生産性低下の業務状況をピックアップしました。
状況に当てはまらなければ、今回のGIS検討は見送っても問題ないでしょう。

written by 澤田 

GISの導入において、全会一致で賛同、となることは、実はあまり多くありません。例えば、GIS導入がスタックする代表的な要因にコストパフォーマンスへの疑念があります。「わざわざ予算をかけて導入しなくても、いまの従業員でなんとかなっているのなら、それでいいのでは?」という意見が出てきます。たしかに、GISから得られるリターンは「満足度」「使いやすさ」のようなものが多く、数値化して表現するのは難しいかもしれません。そこで本号では、GISの有無でパフォーマンスに変化がある業務をお伝えします。

澤田
澤田

地域業務でヒトに依存しない業務の実現ならGIS導入が解決策となるかもしれません!
もし、GISの効果を表現しにくいことが原因で見送っているのであれば【導入検討チェックリスト】を使って「従業員の土地勘があるからできていること」の観点で整理するとGISの必要性は明らかになります。

導入検討チェックリストのダウンロード

この記事はこんな方にオススメです

・GIS導入の効果を説明したい
・業務をGISシステムに置き換えるメリットを知りたい

1.土地勘のない従業員は困ってしまう業務

“土地勘”は人によって範囲や質が違います。仕事で発生する人事異動によって“土地勘”のない人に引き継いだら、昨日までの業務はできなくなった。。。では困ります。その地域に住んだ人に引き継ぐ、現地を歩き回る等でもなんとかなるという気もしますが、どのみち前任者の”土地勘”ではないなので、作業効率は低下する可能性がでてきます。

(1)配送業務

効率的に配送先を巡るための“土地勘”があれば簡単です。今日も配送担当エリアにある配送先が書いてあるリストだけ見れば、会社名や住所を見るだけで、どういう順番で巡ると効率的に終えられるかがわかります。熟練してくると配送先間の移動時間もわかります。

でも、突然の人事異動で、今日から配送担当エリアが変わりました。
地図帳で配送先を見つけ出してメモ、どういう順番に回るかは地図帳をパラパラしながら考えなければなりません。配送先間の移動時間も微妙で本当に巡り切れるか。。。お客様に迷惑をかけないか?不安しかありません。

(2)新規出店検討業務

誰でも住んでいる地域には“土地勘”があります。“土地勘”のある地域ではGISがなくても、高齢者が多い/若い夫婦世帯が多い/公園が少ない/買い物が便利/製造業が多い/等々、地域に住んでいる人や環境や産業にわたるまでの詳細な雰囲気や傾向がわかるので、どこに出店するべきか?おおよそ判断できます。

自分の住んでいる豊橋市であれば、だいたい出店してうまく行きそうな場所はわかります。あとは安い用地や安い家賃の物件を探しさえできれば。。。おそらく店舗運営は大丈夫です。

でも、業務拡大により豊橋市以外の市町村に新規出店を計画することになりました。
市町村の人口総数ぐらいはわかりますが、ヒトの住み方には偏りがあるのでどの地域に人が多く住んでいるかはわかりません。競合店の存在もわからずGoogleマップを見ただけで大丈夫?な状態です。結局、なんとなく良さそうな候補地を絞って、実際に現地に赴いて調査をする!となります。あと、どれだけ調査をすればいいだろう?大きな投資を伴う新規出店、現在の候補地より良い場所があるのでは?と思うと不安しかありません。

澤田
澤田

クライアントの方からのご相談で新規店舗出店ではエリアマーケティングって重要ですよね?

中小企業診断士
中小企業診断士

重要ですよ。「豊橋駅周辺でCafeをしたい」「○○校区で学習塾をしたい」等々、相談には、いたるところでエリアマーケティングの観点の話は出てきます。

澤田
澤田

{エリアマーケティングして地域を分析しているんだな・・・}

GISは何を使っているんですか?

中小企業診断士
中小企業診断士

使いませんよ

澤田
澤田

えっ??どういうこと?

(普段しているGIS導入を進める営業トークが崩れる。。。)

中小企業診断士
中小企業診断士

相談者は“土地勘”があるので、豊橋駅を利用する人や周辺に住んでいる人のことを知ってます。ちょっと離れた二川駅(マップクエストの最寄り駅)周辺の”土地勘”もあるので、もうすでに豊橋駅なのか二川駅なのかの結論ありきで相談に来ているんです。つまり、頭の中でエリアマーケティングがされているんで、今更GISでエリアマーケティングする必要はなしですよ。

澤田
澤田

{うーん、“土地勘”か・・・}

素晴らしい”土地勘”ですね!

2.再現性ある/質の高い仕事で顧客満足度UP!

上述のように、あなたが会社で行う仕事のなかに、今は“土地勘”がある担当者だから大丈夫!となっていたら黄色信号です。土地勘がない地域での仕事は普通にありますから、土地勘頼みの業務から脱却してGIS頼みの業務を増やしていくことをおススメします。

GISでは、さまざまなデータを取り込むことができます。
顧客を地図表示すること、地図を見ながら配送先間の道筋を考えることもカンタンです。また、高齢者が多い/若い夫婦世帯が多い/公園が少ない/買い物が便利/製造業が多い/等々地域の実情を地図で把握することができます。さらに、取込んだデータは位置情報とすることもできます。配送先間の最短経路を算出して移動時間の予測をする、新規出店候補地の半径1㎞内に住んでいる人数や競合店数等を調べ上げることもできます。

“土地勘”でヒトが判断することを、位置情報+GIS機能によって置き換えることで、誰でも効果的な検討が可能となります。

~~コラム~~~

Googleマップでかつてあった情報漏洩トラブル紹介します。ちょっとしたミスでもクラウドサービスだから影響範囲は大きいです。大昔のことと片付けることなく、慣れてしまった人の注意深さは結構低いので気を付けましょう。

個人情報とクラウドサービスの利活用

【生産性を重視するなら。。。なんでもありではない】

最近はクラウドサービスを有効に活用することでできる営業マンとできない営業マンとなることがあります。たとえば、Googleマップをうまく使って訪問先を管理して、最短距離の最短時間で訪問できるとより多くのお客さんにアポイントができたりします。

ただ、ちょっと前のお話ですが、この方法を使っていると落とし穴に、落ちた人たちもいました。
簡単に使えるクラウドサービス、目まぐるしく進歩するクラウドサービスではありますが、そして登録情報の機密性を考えて使えわないと。。。大きな問題を引き起こしかねません。あってはならないスマホ紛失、スマホ画面のぞき見等々、公のサービスを利用すれば簡単にできることでも、扱う情報が機密性が高く、かつ使い方を間違えると、重大な情報漏洩は簡単に起こってしまいます。

Goolgeマイマップで個人情報流出のニュースです。

https://codezine.jp/article/detail/3275
https://xtech.nikkei.com/it/article/COLUMN/20081117/319417/

GoogleマイマップはGoogleマップの機能の1つで、ユーザーがカスタマイズした地図を作成でき、個人での利用はもちろん、他の人々と情報を共有できるサービスです。ユーザーはマイマップを作成する際に、情報公開の範囲設定を「一般公開」か「限定公開」から選ぶことができます。ただ当時は、範囲設定のことを良く知らずに使った結果、教員が家庭訪問用に作ったGoogleマイマップが広く共有されて,児童・生徒の個人情報流出に至ってしまったこともありました。

<気を付けなければならないこと>

Googleマイマップは、ユーザーがカスタマイズした地図を共有することが目的である点、当たり前ですが全世界のインターネットユーザーとその情報を共有できることに価値があります。ただ上述のように「今日の訪問先顧客」のマイマップを作ったとき、共有の仕方次第では大変なことが起こります。実際に2008年にはGoogleでは「一般公開」を危惧して「限定公開」とすることや情報ごと削除することを推奨したこともありました。

https://japan.googleblog.com/2008/11/blog-post.html

機密情報をクラウドサービスで扱うことは、そもそもの使い道が間違っていたと言うのは”いかがなもの”と思います。個人情報だから便利なクラウドサービスはシャットアウト!というのはナンセンスです。汎用的で便利なクラウドサービスはしっかり機能の説明を理解し、リスク回避をする責任のある判断で使いましょう!


澤田
澤田

コストに関してGISは高い!というイメージがあるかもしれません。確かにソフトウェア開発を伴うGISには費用が掛かりますが、最近ではオープンソースのGISもありますし、使用料型のGISもありますので、”土地勘”頼みの業務はGISへの移行を検討しておくべきです。

もし、GISの効果を表現しにくいことが原因で、GIS導入を見送ろうとお考えであれば、【導入検討チェックリスト】を使って「従業員の土地勘があるからできるていること」の観点で整理するとGISの必要性が明らかになります。

「情報システム(GIS機能の無いシステム)を導入した直後に、ベテラン社員が辞めてしまい、事務職の残業時間が増えた」というお話を聞いたことがあります。「ベテラン社員が持っていたノウハウが無くなったので、それを補うために残業が増えた」ことが原因でした。残業を減らすために、土地勘(ノウハウ)を補うことをシステムに取り入れたい!と考えるとき、辿り着くのはGISなんです。

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