GIS開発期間を延ばす3つの要因

システム開発では、様々な時間が積上がって完成しますが、GIS開発ではGISに関わる部分の開発時間に大きな差があるものです

GISのことを大方把握しても、それを業務に活用するには「手持ちのデータを位置情報として何をしたい?」が明確にできていないことが多いです。また、それ以外にもGIS開発が長期化する要因もありますよ。

今回は、GIS開発を長引かせないためのGIS開発の心構えをお伝えします。

written by 澤田 

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澤田
澤田

GIS開発の際にはGIS機能をアプリケーションで使用するためにGISライブラリーを使用します。このGISライブラリーを一般的にGISエンジンと呼びます。

GIS開発に欠かせないGISエンジン※の機能は苦労して大方把握していても開発期間が延びてしまうことがあります。
業務において「位置情報がなぜ有用なのか?どのように見れば(使えば)役立つのか?」を明確にしていなくて、GISの使いどころが迷走してしまうからです。位置情報の使いどころが利用者の期待に応えていないとどうしても仕様変更が重なってアプリケーション開発は長期化します。

では、目的さえ明確であればいいのか。。。(そんなわけはない!)

結局、GISは業務にはツールでしかありません。今回はGIS開発が長期化させないGISエンジンメーカーとしての視点を記載したいと思います。

この記事はこんな方にオススメです
  • GIS開発中で思い通りに開発が進まないで困っている方
  • GIS導入の企画しており開発工期の目安が分からない方

1.GISが難しいから工期は延びる?

GIS開発工期が延びてしまうことは「GISエンジンの理解が不十分だからだ」と思っていませんか?これは工期が伸びてしまうことの原因の一つであると思いますが、それだけではないですよ。

下図をご覧ください。GIS開発には3つの理解が必要です。【GISエンジンの理解】以外にも【地図への知識】や【業務アプリケーションの開発力】が必要となってきます。

GIS開発では、業務のどこにGISを関わらせるか?利用する地図をどれにするか?等の今までに考えたこともない視点や知識で業務を見直せていないと、ユーザーデータをどのように空間情報として扱うのかを定義できないです。この定義があいまいであると、使うべき地図の選定を誤って地図データ追加が必要となったり、それに伴うGIS仕様変更等々で工期が延びてしまいます。

2.工期が延びる要因Top3 業務分析、GISエンジン、地図データ

ここでは、それぞれについて、なぜ工期を伸ばしてしまうのか?を説明していきます。

(1)業務分析

GIS開発において仕様変更は極力抑えたいものですが、最もありがちな仕様変更はこんなことで起こっています。GIS導入の企画にあたってGISに関わる人たちの業務内容やGISに対する期待等をヒヤリングを行うと思います。ただこのヒヤリングを誰に?どのレベルまで?できているかは重要なことです。

特にGISを利用するととになる人へのヒヤリングがなかなか厄介です。
ポイントとしては、GISを利用する人たちには、自身が利用しているデータを地図で表示すると業務が楽になりそうというイメージは持っていますが、GISでどのように表現できるのかを知りません。例えば、営業マンの訪問活動を支援するGISであったとき、最初のうちは顧客管理GISで顧客住所を地図に落とせていると「訪問はラクになる!」と同意してくれます。しかし、顧客の地図表現をどうしたほうが「訪問はラクになる!」にまでのイメージできていないかもしれませんよ。
開発が進みGISプロトタイプを見せたとき「重要顧客は赤い丸&大きく、一般顧客は黒い四角&小さく、潜在顧客は黄色の星印&大きく」といったことができるなら「そのほうがいい、もっとこうしたい」となりがちです。

仕様変更を抑えるためには最初が肝心です。GIS導入目的の明文化しようという記事を以前に書きました。具体的に検討を進めるためのワークシートもありますので、こちらを参考にしてください。

GIS検討3つの外せないポイントGIS検討3つの外せないポイント

(2)GISエンジン

次にGIS開発に関わる「GISエンジン」です。GIS開発ではGISエンジンを使うことで間違いなく正しいです。開発者は、業務分析で明らかとなった機能をGISエンジンのどの機能を使うべきなのかを考えながらGIS開発を進めていきます。

開発工期が延びてしまう理由には、GISエンジンを使いこなすことは、GISエンジンの理解にとどまらないことが挙げられます。GISエンジンは単なる地図ライブラリーですが、対象としている対象は地図データであり、地図データにある、階層(レイヤ)、投影法、地物といったGIS特有の概念も理解しなければならず、意外と概念理解には時間がかかります。要するに、GISエンジンはGISの概念とともに理解しないとGIS開発で使いこなせるようにならないわけです。ライブラリーとしての理解だけでないところを見落としがちです。

(3)地図データ

GISで取り扱う地図データにはGIS特有の概念があることは上述しました。これに加えてGISで取り扱える地図データには様々なものがあります。詳細は割愛しますが、例えば、ゼンリン社の住宅地図国土数値情報など多くの地図データをGISでは利用できます。オンラインではGoogleマップやOpenStreetMap等もありますね。また、業務GISではもちろんユーザ情報を地図データにしたユーザー地図もあります。GIS開発者はこれらの地図をどのように重ね合わせると業務に役立つのかを考えながらGIS開発を行います。例えば住宅地図を背景情報として使い、バス路線データをひとつの主題図として、顧客住所をもう一つの主題図として重ね合わせます。そうするとバスを使ってお客様訪問することを考えることができるGISができあがります。

なぜ、これらの地図データが開発工期を延ばしてしまうのかは、地図データは市販されているものやオープンデータを含めて非常にたくさんのものがあるからです。このためピンポイントで目的の地図データを探し出せない可能性が出てきます。

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3.開発工期を延長しないための方法

業務分析、GISエンジン、地図の三位一体で考えることが、良いGISアプリケーションの開発には必要です。
そうは言っても、業務分析、GISエンジン、地図データの理解を深めるには時間がかかるのものです。でも、これらの整理が不十分だと開発工期は延びてしまいます。

ここで、GIS開発者として、業務分析や改善方法の実装に手間がかかるは致し方ないものの、GISエンジンや地図のことには時間をかけずに開発したいと思いませんか?

そう思った皆さんは、GISエンジンメーカーを頼りにしてください。GISエンジン提供者はGISエンジンを熟知してますし、背景地図への知見もあります。実現したいことを伝えて実現へのアドバイスを求めてしまいましょう

開発者サポートでは、本来問い合わせをできる範疇が必ずあります。GISエンジン機能に関することはOKですが、コンサルティングの要素を含む問い合わせはNGといったところです。ただ、このNGのときの対応はGISエンジンメーカーには差があります。

A社サポート員
A社サポート員

問い合わせ内容がサポート範囲外なので、サポート範疇に切り分けて改めてお問い合わせください。

B社サポート員
B社サポート員

問い合わせ内容がサポート範囲外なので、サポートはできませんが、ご相談として当社GISコンサルタント(営業担当)に引継ぎます。

どちらもサポートとしては範疇外なので対応不可となることは同じですが、B社のように問い合わせを”相談”として聞いてくれるGISメーカーもあります。このときはコンサルティング部門・営業部門に引き渡しされ、お困りごとをヒヤリングのうえ解決策を一緒に考えてくれますよ。
サポートと一言で言っても、GISエンジンの使い方へのテクニカルサポートだけではありません。GISコンサルタント(営業担当)も巻き込んで、業務改善のアイデアの実現について一緒に考えてくれるGISエンジンメーカーを選ぶようにしましょう。

GISエンジン提供者のサポート体制については十分な情報収集をすることをおススメします。

相談すべきGISエンジンメーカーなのかの判断の方法(一例)

澤田
澤田

最後に、GISエンジンメーカーのコンサルティング力を図り知るための質問を考えてみました。
もしお役に立てば・・・

業務GISはユーザーデータをいかに地図の世界に持ち込むか?が大事です。このことを噛み砕くと、GISエンジンをうまく使ってユーザーデータを地図に表示し、適切な背景地図と重ね合わせて地図に表示すれば業務の方法が変わって業務効率があがることが期待できるということです。そこで質問は2つです。

  • ユーザーデータをどうすれば地図のデータとできるか?
  • ユーザーデータを効率よく見るために背景地図は何を使うとよいか?

ここでポイントは背景地図です。先述の通り地図にはたくさんの選択肢があります。オンラインではGoogleマップやOpenStreetMap等がありますし、オフラインではゼンリン社の住宅地図やマップル社のデジタル地図データ等もあります。価格も様々ですし、取得できる情報も様々です。だから「なぜ、そのユーザーデータにその背景地図を選ぶのか?」の問いに対する答えには、地図に対する知見、GISに対する知見として顕著に表れるはずです。

ユーザーデータを背景地図との組み合わせは無限です。業務に合った背景地図のアドバイスを求められるGISエンジンメーカであれば、地図の使いどころについての情報が得られるでしょう。

澤田
澤田

相談する際には、業務に必要なユーザーデータはなにか?を明確にしておきましょう!

納得できる背景地図へのアドバイスが得られたGISメーカーならGIS構築は簡単になりますよ。


今回は、GIS開発の工期が延びてしまう要因をまとめてみました。
地図を使ってできる業務改善はアイデア次第で尽きませんから、アイデアレベルの相談できるか?GISコンサルタントはいるか?、親身にサポートを受け付けるか?。。。頼りになるGISコンサルタントがいるGISエンジンメーカーを選びましょう。

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