オープンデータで人口統計してみる

そもそも統計調査はなぜ行われるのか?

皆さんが統計調査と聞いて、まず思いつくのは国勢調査ではないでしょうか?国では統計法のもと、国勢調査の他にもたくさんの統計調査は行われています(そのなかで指定番号1が国勢調査です)。農林業センサス、経済センサス、学校基本統計、住宅・土地統計等々、多様な切り口でたくさんの調査が行われています。

Sawada
Sawada

統計法では「社会の情報基盤としての統計」とされてます
なお、統計法第1条でその目的は、統計調査を体系的・効率的に行い、その有用利用によって経済発展及び国民生活向上することとなっています。また、有用利用には、行政が利用するだけではなく、社会全体で利用される、いわゆる情報基盤とされています。

このため、統計は、総務省統計局のホームぺージ等で調査概要や調査結果等が公表されます。

この地域には「会社が多いことはわかるが、どんな業種が多いのだろう?」「住んでいる人が多いけど、その人たちはどんな仕事をしているのだろう?」といった「地域を知る」必要があるときの根拠データとして見ることができます。「新規出店候補のA市とB市どちらにしよう?」を考えるときにも役立ちます。

令和2年国勢調査を眺めてみる

実際に令和2年国勢調査結果を地図に表現してみました。

現時点でダウンロードできるものは「速報集計」というものなので、残念ながら国勢調査の結果のすべてではないですが、全国、県別、市区町村別に人口に関するものが取得できます(人口総数や男女別人口、5年間の人口や世帯の増減数・増加率など、今後は就業状態や移動人口などの調査項目を反映した結果が公表されていきます(最後は2022年8月で公表されます))。

速報値データを眺めるにあたり、全国の地方自治体数は1,700以上ありますので、一気に見るために地図を利用します、そのために速報値データを地図をつなげるためにGIS(GIS:Geographic Information System)を使っています。

以下の地図は、市区町村ごとの速報値結果を地図上の市区町村に貼り付けた結果です。

人口の多い市区町村ほど濃く表示しています。ちなみに色は0~5千人のものが最も薄く、順に5千~5万、5万~50万、それ以上と濃くなっています。これは一般的に言う村/町/市/中核市といった区切りを意識してみましたがイマイチですね。

人口速報値の図
令和2年国勢調査の速報値(総人口)

色の塗分け方にもよるところはありますが、都市部が人口は多いそうということぐらいしかわからないです。

これだけでは何とも言えないですね。。。ということで、次に前回調査との人口の増減率を見てみます。今度は増減率がプラス(増加)は赤、マイナス(減少)はグレーです。

令和2年国勢調査の速報値(人口増減率)

いわゆる都市部では人口が増えていて、それ以外では総じて人口は減っていると分かります。

2つの地図を合わせて見ると、日本全体の人口の偏りの進み方には、相変わらずの課題?を感じませんか。いわゆる”過疎と集中”、そして、それは緩和しているというより進行している。

今後在宅勤務とか働き方が変わるだろうと思うのですが、次回の国勢調査の頃には緩和しているのでしょうか?

出典 ほか

上記、2地図は以下を株式会社マップクエストが取得し加工したものです。
<統計データ>令和2年国勢調査 調査結果(総務省統計局)(2021年10月8日取得)
<地図データ>国土数値情報(行政区域データ)(国土交通省)(2021年10月8日取得)

”地域を知る”ためには、様々なデータを取得して加工してといった苦労(?)はあるものの、統計調査は広く公開されているので、うまく使えば皆様の事業戦略等にも大いに役立てることができます。

なお、実際にデータ取得したあと、地図に表示するまでのの苦労(?)の記録です。。。。

速報値データの取得

  • 「政府の統計窓口(e-Stat)」から取得しました
    • https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200521&tstat=000001136464&cycle=0&year=20200&month=24101210&tclass1=000001136465&tclass2=000001154388)
  • このファイルは速報値を地方自治体ごとにまとめたExcelファイル
  • 統計の説明等が書かれた印刷したようなイメージだったので、データ部分だけとして整形
  • さらに全国地方公共団体コードがなく、地区名という列に”23201_豊橋市”のようになっていたので全国地方公共団体コードを示す最初の数字5桁”23201”を切り出して新たに列を作りました

地図データの取得

  • 「政府の統計窓口(e-Stat)」では県別にしか取得できそうに無かったので、47回ダウンロードはしたくないので。。。あきらめて国土数値情報ダウンロードサイトにある「令和3年の行政区域データ」を取得しました
    • https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-N03-v3_0.html。

おまけ(町役場の統計調査担当経験者として)

ほとんどの統計調査は全国規模で行われますが、調査員確保や調査員説明会、回収した調査票整理なとの実務の多くは、法定受託事務として地方自治体が執り行う部分があります。

自分が担当したのは平成17年国勢調査でした(ちょっと古いお話です)。人口4千人ほどの小さな町でしたが、おおよそ2千人弱の世帯に調査票を配布し、回収し、記載事項のチェックをし、最終的に県に提出するという仕事でした。ただ、これが実はボリュームが大きかったです。

統計調査では、調査対象者に対し調査員が訪問をして調査票を渡して記入してもらいます。職員一人では当然無理で、調査票の配布や記入依頼、調査票回収、調査票チェックなどをしていただく調査員を地区ごとに任命して調査活動をします。最近はインターネット調査も行われていますので、大分様変わりしているとは思いますが。。。。調査員の人たちに、円滑な調査活動をしてもらうための段取りは大変でした。

全国でこのような苦労(?)の結晶が統計調査結果ですので価値あるものと思います。ぜひ、みなさんの「ん?この地域って?」というようなときに活用してください!!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA