位置情報を取り扱うときに気を付けること

位置情報データを収集・分析して研究やビジネスに活用する機会が格段に増えています。しかし、位置情報は個人情報にもなりえるセンシティブなデータであるため、取り扱いに注意が必要な場面もあります。

事例:クビアカツヤカミキリの分布拡大の追跡

以前の記事にて紹介した「シカ情報マップ」は、野生のニホンジカの目撃情報を集めるアンケートシステムでした。このシステムを横展開し、特定外来生物であるクビアカツヤカミキリの目撃情報を収集する「クビアカツヤカミキリアンケート」を現在、試験運用しています。しかし、このシステムではシカ情報マップにはある、目撃情報の閲覧ページを設けていません。それは何故でしょうか。

理由は、風評被害を防ぐためです。クビアカツヤカミキリはサクラやモモ、ウメ等の果樹に寄生し、樹木の中を食い荒らします。つまり、仮に目撃情報が果樹園などで報告され、位置が特定できる状態で公開してしまうと、収穫された農産物の品質等へ風評被害が及ぶことが懸念されます。現時点では、そのような事態を避けるため、結果閲覧ページを非公開にしています。

このように、位置情報は活用すれば便利な一方で、プライバシーや権利侵害などセンシティブな側面があり、扱いに注意が必要です。

データの解像度を落として安全なデータに

具体的な位置が特定できてしまうと問題であるのなら、特定できなくしてしまえばいい。ということで、上述のクビアカツヤカミキリアンケートでは、目撃情報を地域メッシュで集計することで、分布の可視化と位置情報の匿名化を両立することにしました。今年度完成予定です。

メッシュ表現のイメージ。色の濃淡で分布を表します。

このようにデータ加工することで、個人情報の取り扱いに敏感なユーザが離脱する機会損失を防ぐ効果もあります。位置情報は、ひと手間をかけても安全に取り扱いましょう。

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